弘法大師は三業度人の制を国家に奏上され、我が宗徒は、1大日業(大日経の研究)、2金剛頂業(金剛頂経の研究)、3声明業(梵字悉曇の研究)の何れかを旨とすべきと定められました。
また仏教に説かれるところは広けれども分類すれば五明(5つの学問)に過ぎず。声明(言葉の学問)は他の四明の本体であるとも述べておられます。
しかしながらその本分は次第に忘れられ「悉曇声明愚僧の役」という言葉に象徴される如く、梵字の練習をしたりお経の稽古をするのは学問の出来ない者がすることのように考えられ衰退してきました。
江戸時代の傑僧・慈雲尊者は師匠より受けた伝統的な相承をもとに独学で研究を重ね、インド古来の言語であるサンスクリットの翻訳・還訳ができる水準にまで悉曇学を復興されました。その業績は当時の世界的水準を遙かに超え、明治以降に来日した欧米の学者達を驚嘆させたといわれております。
しかし残念なことに、この偉大な業績もまた再び忘れられつつあるのが現状です。塔婆と御札が書けたら事足れりとする風潮は考え直されねばなりません。
慈雲尊者が悉曇の道場とされた河内の高貴寺では近世までその伝統が脈々と伝えられてきました。松本俊彰和上はこの遺風を伝える最後の相承者であり、京都の大本山や高野山で途絶えてしまった旧流が今ならまだ直接手ほどきを受けて後世に伝えていくことが可能なのです。
今回真言宗の総本山である東寺にて講習会をするということは、この伝統を本山に還流し復興するという象徴的な意味合いも含みます。
おそらくこれを逃せばまたとない貴重な機会でありますので、志をお持ちの方は是非御受法いただきますことをお勧めいたします。
詳細は下記リンクより御覧下さい。
http://www.tajimadaibutsu.jp/event/siddham.htm
